【質問】福馬えみ子
江東区議会民進党・無所属クラブの代表として、大綱3件の質問をいたします。区長、教育長の明快な答弁を期待し、質問に入ります。
質問の1件目は、平成28年度決算と平成30年度当初予算編成についてです。
まず、平成28年度決算について。
平成28年度当初予算編成において、山崎区長は、50万人都市となった本区が、江東区基本構想に掲げる将来像の実現に向けて、庁内の意欲と活力を最大限に引き出し、積極果敢な区政を確実に推進するため、「スポーツと人情が熱いまち 夢への加速予算」と述べられました。今、平成28年度決算を終え、区長はどのように総括されているのでしょうか。
一般会計は、歳入・歳出決算額ともに6年ぶりに前年度を下回っています。この要因について、分析と評価をお尋ねします。
歳入決算を見ますと、特別区税、特別区交付金等の伸びがあります。さらに、特別区税の現年度収納率は99.2%と過去最高となり、関係者の努力の成果があらわれています。しかし、未来永劫に続くわけではないのです。法人住民税の一部国税化、ふるさと納税の影響も懸念されます。さらに、納税の公平性が求められる中、今後とも納税者の立場に立った納税機会の拡大や納税意識の啓発を進めていくべきと考えますが、いかがでしょうか。
また、繰越金、特別区債の大幅な減により、自主財源の構成比は39.6%となりました。自主財源と依存財源の構成比の推移の認識と将来的な展望についてお尋ねします。
歳出決算からは、義務的経費の構成比は依然と高く、平成27年度よりも増加をしています。扶助費の伸びが影響しており、今後の財政運営に影響があり、財政の硬直化が懸念されます。しかしながら、義務的経費を削減するのは容易ではありません。人件費の推移もあわせて今後の方針をお尋ねします。
2点目は、平成30年度当初予算編成について。
このたび、平成30年度予算編成に当たり、今後、東京2020オリンピック・パラリンピック大会の中心地として世界の注目を集める本区が、将来にわたり区民が誇れる水彩都市として発展していくためには、持続可能で強固な財政基盤の構築や江東区長期計画(後期)で掲げた目標の着実な達成に加え、自律的な事業の見直しのもと、日々高度化、複雑化する区政課題に的確に対応する意欲あふれる政策を打ち出し、それを推進する予算、「誰もが希望をもてるまちへ 未来への種を蒔く予算」とする基本方針が示されました。
1、柔軟な発想と実効性に富んだ意欲溢れる施策の充実。2、少数精鋭の体制においても、地に足付いた施策の展開。3、持続可能で強固な財政基盤の構築となっています。この予算編成基本方針の具体的な趣旨は何なのか。また、全庁的な共通認識にする過程をお示しください。
特に職員に対し、この編成方針への理解はどのように進められているのか、あわせてお尋ねします。
また、予算編成において、「事業の優先順位を見定める」とありますが、優先順位のあり方についての基本的な考え、順位づけについてお尋ねします。
なお、本区の予算は積み上げ方式、いわゆるボトムアップと言われる手法です。現場の見地が生かされた要求であり、執行段階が円滑、組織内の調整が整然と進む、組織のメンバーの参画意識を醸成しやすいなどのメリットがありますが、既定経費の固定化、前例踏襲、増分主義が定着しやすい、また、各部署ごとの積み上げのため、全庁横断的な検討、調整が不十分であることなどのデメリットが考えられます。本区の予算編成過程において、これらの問題をどのように解決されているか、お尋ねします。
また、予算編成過程において、既存事業の見直しに対して、財政効果額の2分の1を上限のインセンティブとして、歳出事業費に計上し、区民サービスの向上の原資とすることができるインセンティブ予算制度が、平成28年度当初予算編成より運用されています。インセンティブ予算制度が開始され2年が経過しました。28年度、29年度の当初予算編成における実績についてお尋ねします。
質問の2件目は、行政評価についてです。
行政評価制度は、行政サービスの現状を認識し、行政課題を発見するための手法の一つです。また、評価結果を公表することで、区政の透明化を高め、区民への説明責任を果たすツールの一つになると考えます。
言うまでもなく、行政評価は、所管部が施策や事務事業を自己評価する内部評価をしっかりと行うことが重要です。内部評価は、事業を毎年振り返ることで職員の意識改革、成果志向の醸成に一定の効果があります。
一方で、実際には職員の事業に対する思い入れや区民や議会など、各種のしがらみが要因になり、見直しがしがたい側面もあると考えます。行政評価制度に対する区の認識をお尋ねいたします。
まず、施策評価についてです。
施策実現に関する指標の推移を見ていくことにより、施策の成果、進捗状況、課題、取り組み方向性等の評価を行うものです。この施策実現に関する指標の設定については、さまざまな問題点が指摘されています。
例えばDV相談件数は、31年度の目標が示されていません。増加をするのがいいのか、減少するのがいいのか、相反する数値がどちらも正しいのです。これらの数値は区民にも公表されており、数値の持つ意味がきちんと理解されるものでなくてはならないのです。どのようにお考えですか。
また、必要に応じて指標の見直しも必要と考えますが、あわせてお尋ねします。
さらに、行政評価において成果を重視し、これを測定するための指標を充実することに加えて、コスト意識の重要性から、費用対効果の視点から評価をする必要があると考えますが、区の認識をお尋ねします。
2点目は、事務事業評価について。
全ての事務事業について、目的、妥当性、有効性、効率性といった視点から評価をし、新規、レベルアップ、見直し、維持、廃止の改善方向を示すものです。改善方向を見ますと、見直し、廃止はかなり少ないと言えるでしょう。事務事業評価を数年繰り返していく中で、職員レベルで比較的容易に見直し、廃止が可能な事業は淘汰され、残った事業は職員による内部評価では見直しがしがたいと考えますが、いかがでしょうか。今後の進め方をお尋ねします。
3点目は、外部評価について。
行政評価は、平成13年度に導入されて以降、アップグレードが施されてきましたが、事業の見直し、改善機能は十分とは言えませんでした。そこで、本区は、平成22年度から行政評価の一環として外部評価を導入し、27年度から現在の実施方法へ見直しました。現在の外部評価は、御承知のとおり、有識者や他自治体職員6名で構成する江東区外部評価委員会を設置し、専門的な見地から各施策を評価、検証することにより、具体的な改善策や方向性など、今後の施策展開の参考となる意見を得るためとされています。
また、区民の視点に立った評価の観点から、無作為抽出した区民の中から参加希望者を募り、外部評価モニターという形で委員会に参加をいただき、意見をいただくという試みになっています。
外部評価は、全34施策を3カ年で評価し、今年度をもって全施策の評価が一巡しました。今年度の外部評価結果報告書が出されましたが、本当に貴重な報告書となっています。区長は3カ年の外部評価をどのように評価されたのか、お尋ねします。
外部評価で指摘される事項は、専門家による成果主義、民間感覚からの効率性の向上、区民からの事業の評価などがあり、職員の意識改革に大きな影響を与えるものと考えられます。また、説明能力、調整能力も向上することでしょう。さらに、外部評価を有効に機能するためには、組織改革や改革をサポートする体制づくりに真剣に取り組むことで、改善力を高めていくことができると考えます。
3カ年で一巡した外部評価ですが、今後はどのように進められるのでしょうか。これまでに見えてきた課題と、今後のあり方の認識をお尋ねします。
また、これまでに外部評価が行われた各施策が、その後どのように進展しているのかを検証すべきと考えますが、いかがでしょうか、お尋ねします。
吉武外部評価委員会委員長は、「外部評価を含む行政評価の目的は、区民福祉の向上のための長期計画の確実な推進、確実な区政運営の実現にあるのであって、評価のための評価になってはなりません」と結ばれています。このことを十分に踏まえ、今後の評価のあり方に期待をしています。
質問の3件目は、教育行政について。
まず、教育推進プラン・江東(後期)について。
平成27年、教育委員会制度が大きく変わりました。首長が主宰する総合教育会議により、本区の教育ビジョンが策定され、これをもとに教育大綱が策定されました。この教育ビジョンは、教育推進プラン・江東(後期)の中において、区民、保護者、地域、江東区の教育にかかわる全ての人たちが協力して、実現に努める目指すべき方向性を示したものです。
一方、教育委員会は、毎年その権限に属する事務の管理、執行状況について、点検・評価を行い公表することが義務づけられています。したがって、教育推進プラン・江東(後期)も、毎年点検・評価がされ、公表されなければならないのです。
平成28年度には、学識経験者、学校長、PTA会長、公募した区民からなる評価委員会を設置、点検・評価がされました。重点プロジェクト事業の評価は、それぞれの施策の取り組み状況の内容と効果、課題、今後の方向性が示されており、関係者の大変さが伝わってまいりました。
この報告書のまとめとして、小川委員長は、「着実な成果の確認・向上と、先を見据えた教育行政の取り組みへの期待」として、3点を指摘されています。
さらに、今後も教育委員会、学校、地域、保護者が一体となり、長期的な展望に立って先を見据え、江東区のこどもを育てる教育行政に強く期待をしていると結ばれています。期待の重さを感じました。この重さを本区教育行政にかかわる全ての職員に共通認識をしていただきたいと考えます。同時に、たくさんの御指摘をどのように今年度につなげられたのか、お尋ねします。
また、区教育委員会は、教育推進プラン・江東にある取り組みの重点の設定を毎年見直すとしています。どのような方針で設定の見直しを行われるか、お尋ねします。
2点目は、特別支援教室について。
平成27年3月に、東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画に基づき、特別支援教室の導入ガイドラインが示され、平成30年度までに全ての小学校に特別支援教室が設置されることになりました。これを受け、本区では、特別支援教育検討会を設置し、研究、協議を進め、特別支援教室の段階的な導入を決定し、30年度までに全小学校に設置の道筋を示しました。
それぞれの小学校のひまわり教室において、こどもたち一人一人に合った学び方での教育を行うという、これまでの特別支援教育を大きく変えるものとなります。区教育委員会はどのように認識されたのか、お尋ねします。
また、導入を円滑にするために特別支援教室ガイドラインを作成し、特別支援教室の導入に必要な事項をまとめました。平成28年度以降には、さまざまな工夫を凝らしながら内容を改善していくとされていますが、平成29年度どのような改定がされたのか、お尋ねします。
各学校では、本ガイドラインを基本とし、各校の実情に応じた導入計画に基づき実施されます。進捗状況についてお尋ねします。
ガイドラインが示されましたが、実践するのは現場です。校長のリーダーシップは言うまでもありませんが、全教員の理解と指導力の向上が求められています。さらに、児童、保護者への十分な理解が不可欠です。本区教育委員会のチェック体制、支援体制はどのように構築されているのですか。あわせて、残り半年となった現在の推進体制をお尋ねします。
3点目は、江東区オリンピック・パラリンピック教育について。
御承知のとおり、本区では、2020東京オリンピック・パラリンピック競技大会において、オリンピック11競技、パラリンピック8競技が実施されます。この恵まれた環境を最大限に生かし、幼児、児童、生徒に夢と感動を実感してほしいとの思いで、本年3月に江東区オリンピック・パラリンピック教育推進計画を策定し、本区独自のオリンピック・パラリンピック教育が推進されています。
まず、教育推進プラン・江東(後期)において、このオリンピック・パラリンピック教育をどのように位置づけられているのか、お尋ねします。
平成32年7月開催される東京大会まで3年弱となった今、オリンピック・パラリンピック教育はこどもたちの心に響く教育になっていかなければなりません。そのためには、こどもたちがみずから考え、実践する取り組みであるべきです。決して押しつけになってはならないのです。こどもたちが主体的に取り組めるオリンピック・パラリンピック教育とするためにどのような工夫をして推進されるのか、お尋ねします。
江東区にとってオリンピック・パラリンピックの開催は、これからの本区の発展に重要な機会となります。恒久施設となる競技会場の建設、さまざまな施設整備など、ハード面でのオリンピック・パラリンピックのレガシーは語られていますが、2020大会の開催を通して、江東区民の心のレガシーを創出していくことが重要であると考えます。区教育委員会として、オリンピック・パラリンピック教育におけるレガシーをどのように考え、推進されるか、お尋ねします。
以上をもちまして質問を終わります。
御清聴ありがとうございます。(拍手)
【答弁】山崎区長
福馬恵美子議員の御質問にお答えいたします。
平成28年度決算と平成30年度当初予算編成についてであります。
まず、平成28年度決算の総括についてでありますが、平成28年度は、地域包括支援センターの全区展開に向けた準備や障害者スポーツフェスタの開催とともに、深川スポーツセンターや男女共同参画推進センターの大規模改修などを着実に推進し、的確な区政運営が実現できたものと認識しております。
次に、一般会計の歳入・歳出の6年ぶりの減については、平成27年度に実施した有明西学園の用地取得や、豊洲シビックセンター整備終了等に伴う皆減が主な要因であります。しかしながら、民生費等の社会保障関係経費は増となっており、区民サービスの向上に資する予算執行ができたものと認識しております。
次に、歳入における特別区民税の収納率については、これまで取り組んできた収納率向上、新たな収納機会拡大などの成果と捉えております。引き続き、納税環境の整備と納期内納税などの啓発を行い、歳入の確保に努めてまいります。
次に、自主財源と依存財源の構成比の推移と今後の展望についてですが、過去5年間、自主財源は4割、依存財源は6割程度で推移しております。今後も使用料など不断の見直しにより、適正な受益者負担を区民に求めるとともに、新たな歳入確保策を拡充することで、自主財源比率を高めていきたいと考えております。
次に、義務的経費についてであります。
扶助費については、今後も高齢化の進展や待機児童対策等に伴い、増加するものと見込んでおります。また、人件費については、定員適正化計画によりおおむね横ばいで推移しておりますが、今後は定年制の延長や会計年度任用職員等の制度改正の影響を見定める必要があるものと認識しております。
義務的経費は削減が困難な経費ではありますが、各事業について、区民ニーズや費用対効果を踏まえた検証、見直しを行い、適切な予算執行となるよう努めてまいります。
次に、平成30年度の予算編成基本方針についてであります。
まず、具体的な趣旨についてであります。本区は、現在人口増加や区民税などの歳入環境の堅調な推移が続いている状況ですが、次期長期計画期間となる平成32年度以降は、人口増加の速度も緩やかになると想定しております。また、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の経済状況の変化やより複雑化・高度化する区民ニーズへの対応、インフラ資産や公共施設の改修等が本格化するなど、区政を取り巻く環境は厳しさを増すことが予想されます。
こうした中、現行実施している事業規模が適正か、また区民ニーズに沿ったものなのか等を、全庁一丸となって検証し、未来に向けての活力を創生していく必要があると考え、3つの基本方針を策定したものであります。
なお、職員への周知についてでありますが、庁議や全庁的な説明会など、職層に応じた場で認識の共有を図っているところであります。
次に、事業の優先順位についてでありますが、長期計画(後期)で掲げた施策や外部評価委員会等での御指摘を踏まえ、喫緊の課題への対応が、区民福祉に資する施策等について、選択と集中を図り、予算編成を進めてまいります。
また、ボトムアップ型予算編成についてですが、お尋ねのようなデメリットを解消すべく、徹底した事業の見直し、全庁横断的な検討、調整を、所管からの要求や査定の各段階で実施し、全庁一丸となって、「未来への種を蒔く」予算編成を実施してまいります。
次に、インセンティブ予算制度の実績についてであります。
28年度当初予算では、見直しが41件で財政効果が1億2,800万円余、29年度当初予算では8件で1億1,500万円余となっており、この財政効果の一部を、インセンティブ予算として新たな取り組み等に活用しております。代表的な例としては、小中学校の校務用LANの運用環境の見直し、清掃用車両台数の見直し等が挙げられます。
今後もインセンティブ予算制度を継続し、既存事業の見直しと新たな取り組みの創出を積極的に促進してまいります。
次に、行政評価についての御質問にお答えします。
まず、行政評価制度に対する認識ですが、行政評価は、行政資源を有効活用するとともに、区民にわかりやすい行政運営を実現させるため、各施策が掲げる目標の達成度を指標で示し、施策や事務事業の評価を行うシステムであります。また、外部評価の実施や評価結果の公表を通じて、客観性や透明性を担保しており、思い入れやしがらみなどの予断を排した評価ができる仕組みであると認識しております。
次に、施策評価についてです。
まず、指標の設定につきましては、目標値の設定が困難なものや、一面的に評価ができない指標があることは御指摘のとおりであります。このため、評価シートには、指標に関する主管部長の評価をあわせて記載し、わかりやすい説明に努めているところであります。
御質問のDV相談件数につきましては、本質的にはゼロ件が理想ではあるものの、相談窓口の周知も必要との観点から、相談件数の増には肯定的な側面があるとの評価をしているところであります。
次に、指標の見直しについてですが、施策の進捗を捉えるためには、指標を継続的に測定することが必要であることから、指標そのものの変更は毎年度行うべきものではないと考えております。しかしながら、外部評価委員からも、指標の選択理由や目標値の設定根拠が不明確なものがあるとの御指摘をいただいており、今後、行政評価制度を見直す際には、指標の改善についても検討してまいります。
次に、費用対効果の視点から評価する必要についてですが、行政評価においては、施策に要する事業費と人件費を加えたトータルコストを示し、評価の一助としており、引き続き費用対効果を踏まえた評価を実施してまいります。
次に、事務事業評価についてであります。
職員による内部評価では事務事業の見直しが難しいのではとの御質問ですが、平成29年度予算においては、平成28年度の行政評価を反映させ、見直しが14事業、廃止は5事業となっております。一方、新規事業、レベルアップ事業は109事業あり、これらについても行政評価の効果であると考えております。
また、行政評価制度においては、所管部署による内部評価にとどめることなく、区の最終判断である二次評価において施策や事務事業の方向性を示すとともに、見直し・廃止対象事業を選定しております。今後も、行政評価制度を最大限に活用し、時代のニーズに沿った事務事業の見直しを進めてまいります。
次に、外部評価についてであります。
まず、3カ年の外部評価に対する区の評価ですが、評価を実施する中で、外部評価委員や外部評価モニターから、専門性の高い指摘や区民の率直な実感など、内部評価にない多様な評価を得られたことは行政にとって新鮮であり、参加した職員にとっても大きな刺激と重要な気づきを与えるものであったと考えております。
また、報告書においては、施策の目的と手段を体系立てて整理する構造化の重要性や、評価そのものが目的化してはならないといった意見をいただきましたが、いずれも施策推進や行政評価に当たり、常に留意すべき御指摘と受けとめております。
また、評価委員による評価は、外部評価モニターの評価も踏まえたものとなっており、専門的見地と区民視点の両面からの評価がなされた、非常に意義のある取り組みであったと評価しております。
次に、これまでに見えてきた課題と今後のあり方についてですが、外部評価委員からは、用語が難解であり区民の理解が追いつかない、施策と事務事業の関係がわかりづらい、区が取り組むべき意義や国、都との役割分担が示されていないなどの御指摘があり、今後の外部評価のあり方については、外部評価委員の御協力もいただきながら検討してまいります。
また、これまでに外部評価が行われた施策の進展状況につきましては、毎年実施している内部評価において進行管理しておりますが、外部評価委員によるフォローアップも必要と考えており、実施方法について検討してまいります。
なお、その他の御質問につきましては、教育長から答弁いたさせます。
【答弁】岩佐教育長
次に、教育行政についてお答えします。
初めに、教育推進プラン・江東(後期)についてです。
平成19年度の法改正を受け、本区でも翌年度から毎年、教育委員会の事務の点検及び評価を行っております。
平成28年度は、前年度に実施した事務について、おおむね高い評価をいただきましたが、ICT化のおくれや中学校の学校図書館に司書の配置がないことが指摘されました。これを受けて、今年度は全小中学校にタブレット端末を導入するとともに、中学校にモデル事業として司書の配置を行いました。
また、体力向上の取り組みに対しては、効果は上がってきているが、体力面だけでなく、オリンピック・パラリンピックの意義等について理解を促すことが望まれるとの指摘を受け、今年度本格化したオリンピック・パラリンピック教育の中で取り組んでおります。
教育推進プラン・江東(後期)は、28年度が初年度であり、今年度初めて、後期の柱立てに沿って点検、評価を行いました。46項目の取り組みの重点については、その目標が達せられたか、新たな喫緊の課題がないかを考慮しながら、見直しを行うこととしております。
今後とも評価委員からの期待を真摯に受けとめ、教育推進プラン・江東(後期)の実現に向け取り組んでまいります。
次に、特別支援教室についてです。
初めに、特別支援教室の導入に関しての認識についてです。
通級から在籍校での指導に変わったことにより、在籍学級での学習のおくれへの不安が減り、学級集団への適応にもよい影響が出ております。また、徐々に保護者の理解も進み、入級希望者がふえています。今後も発達障害に応じた指導の工夫などの課題を改善し、指導の充実に努めてまいります。
次に、ガイドラインの改訂についてです。
今回は具体的な指導、支援の検討や専門員の活用の方法等、前年度の評価に基づき改善した内容を盛り込みました。
次に、導入の進捗状況についてです。
全校での開始年度は平成30年度ですので、現在未実施の22校で、各校の状況に応じて教室の整備を行っています。
次に、教育委員会によるチェック体制、支援体制についてです。
教育委員会では、就学相談アドバイザーを派遣し、教員の役割や学習支援員の配置等を確認するとともに、校長及び校内委員会への助言により、円滑な運営となるよう支援しております。
次に、現在の推進体制についてです。
実施予定校で巡回指導を試行し、次年度の時間割の作成を準備するとともに、各校と連携して保護者説明会を開催し、特別支援教室の理解、啓発に努めています。
次に、江東区オリンピック・パラリンピック教育についてです。
まず、教育推進プラン・江東(後期)におけるオリンピック・パラリンピック教育の位置づけについてですが、プランでは4つの施策の柱と並ぶ重要課題としてオリンピック・パラリンピックへの取り組みを位置づけており、それに基づき、江東区オリンピック・パラリンピック教育推進計画を策定しました。
次に、こどもたちの主体的な取り組みとなるような推進上の工夫についてです。
本区では、こどもたちが主体的に取り組めるように、こどもテーマを位置づけました。「見つめよう『自分』」、「伝えよう『江東・日本』」、「知ろう『世界・ともだち』」、そして「関わろう『SPORTS&SUPPORTS』」という4つのテーマをこどもたちが学習内容に合わせて設定することで、意識づけができるようにしております。
次に、オリンピック・パラリンピック教育におけるレガシーについてです。
教育委員会では、オリンピック・パラリンピック教育を通して、「ボランティアマインド」、「障害者理解」、「スポーツ志向」、「日本人としての自覚と誇り」、そして「豊かな国際感覚」の5つの資質を重点的に育成することを目指しております。そして、これらを身につけた全てのこどもたちが、東京2020大会にかかわることを通して、心に残る一生の思い出を得るとともに、夢や将来への可能性を広げられることこそが、オリンピック・パラリンピック教育におけるレガシーであると捉えております。