平成21年第4回江東区議会定例会 代表質問

平成21年の江東区第4回区議会定例会が開催。福馬えみ子は以下の代表質問を行いました。
1. 平成22年度当初予算について

【質問】福馬えみ子

本区では、平成22年度の予算編成の基本方針として、①「江東区の将来像」実現に向けて、区民福祉向上の立場から創意工夫のもと、「思いやり」と「スピード感」を持って着実に施策の展開を図る。②区民の負託を受けた貴重な財源を有効かつ適切に活用し、コスト意識の徹底や効率的な事業執行の推進により、一層の財政健全化を図る。とされています。現在、各部局から、平成22年度当初予算要求が提出され、一般会計予算の要求総額は1606億23万9千円で、平成21年度予算と比べると130億723万9千円、8.8%の増、また、平成20年度決算額1543億6333万円と比較しても4%の増となっています。

一方、わが国の経済の見通しは、依然として不透明であり、デフレ基調の経済動向の中、新政権においても無駄な公共事業の削減や社会保障費の効率化、実効性のある雇用創出への早急な対応が求められています。また、本年度都税収入の5千億円減が見込まれるなど、本区においても区税や特別区交付金など、かつて無い厳しい歳入環境が想定されます。

そこで初めに、20年度決算を踏まえて、22年度当初予算要求をどのように評価されますか。また、特別区交付金の減額が確実視される中、歳入の確保についてはいかがでしょうか。さらに、今後どのような考えで予算編成作業に臨まれるのかお尋ねします。そして、今年度策定される「新長期計画」の推進にあたっては、施策展開の優先順位を決め、柔軟な対応が必要と考えますがいかがでしょうか。また、この予算編成において、「江東区行政評価」をどのように活用されたのか、お尋ねします。

【答弁】山崎区長

福馬恵美子議員のご質問にお答えします。
平成22年度当初予算についてのお尋ねであります。平成22年度は、基本構想に掲げる「江東区の将来像」である「みんなでつくる伝統、未来 水彩都市・江東」の実現に向け策定中の新長期計画のスタートの年であります。
そこで、本区の平成22年度の予算要求をどのように評価しているかですが、生活保護費、子育て支援経費などの扶助費や義務教育施設、公共施設の整備などの行政需要の増大により、歳出要求額は大幅に増加しております。20年度決算に対する監査委員の意見書や第3回定例会における決算委員会の議論の中では、より一層の事務の簡素化・効率化やよりよいサービスを提供する視点からのアウトソーシングの推進と併せて、様々な議会要望を頂いております。要求内容は、これらのご指摘も踏まえ各事業課が鋭意調整したものであると認識しております。

次に、歳入の確保についてですが、特別区交付金をはじめ一般財源の大幅な減収が見込まれる中、バブル経済の崩壊時の教訓を踏まえて、これまで積立を行ってきた財政調整基金などを活用するとともに、住民参加型市場公募債の発行も含めた起債の活用など、新たな歳入確保についても検討してまいります。

次に、どのような考えで予算編成作業に臨むのかとのお尋ねですが、本区の予算編成におきましても、景気低迷の影響を色濃く受け、これまで経験したことのない急激な財政環境の悪化が懸念されます。このような状況下で、区といたしましても、事業の見直しや再構築などにより、無駄なく効率的な予算を編成することが必要であり、また、新規・レベルアップ事業については、これまで以上に後年度負担の検証をしなければならないと考えております。

また、「新長期計画」における施策展開の優先順位についてですが、計画の策定に当たっては、それを担保する財政計画が車の両輪となります。従いまして、新長期計画に盛り込む事業については、限られた財源の中、区政全体の重点施策や緊急課題に優先的に財源を配分していくことが必要であります。更に、今後の経済情勢の変化や財政状況などを踏まえ適宜見直しを図り、柔軟かつスピード感をもって、区民ニーズに的確に対応する必要があると考えております。

また、予算編成に行政評価をどのように活用したのかとのお尋ねですが、毎年度実施している事務事業評価システムを活用し、事業の必要性について成果・コスト面から評価を行い、事業の見直しや新規・レベルアップ事業の展開など、平成22年度の予算編成に活用しております。また、長期計画策定を契機として、外部評価の導入など、区民に開かれた行政評価手法により、更に予算編成等への活用を検討してまいります。

2. 人材育成ついて

【質問】福馬えみ子

(1)職員ついて

行財政改革の推進により、職員定数が削減される一方、情報公開や区民参加等が進み、行政サービスの質・量に対する区民の関心が高まっています。さらに、区民の行政ニーズは年々、複雑・多様化してまいります。今後、厳しい財政状況の中での行政運営には組織力、職員力の向上が不可欠となります。
本区では、平成15年に策定された、『江東区人材育成基本方針』に、職員の基本姿勢について、①区民と同じ視線を持つ。②常に問題意識を持ち、チャレンジする。③コスト意識を持ち、社会の変化に敏感に対応する。④高い倫理観とバランス感覚を持つ。とあります。現在も通用するものと考えますが区長は江東区の職員像についてどのようにお考えですか。現在、基本構想に対応した「江東区人材育成基本方針」の改定準備が進められています。進捗状況と職員参加についてお尋ねします。

(2)人事管理について

人材育成には、職員の意欲を掻き立てる人事管理が必要です。まず、職員の能力・適性・業績を公正かつ公平に評価できる人事考課制度の充実と、人材育成の視点に立った人事配置を実現すべきです。その為には評価をする職員の訓練が不可欠となります。さらに、評価結果を給与や手当てと言った処遇に反映させる制度を江東区独自で進めるべきと考えますがいかがでしょうか。また、現在、人事異動は移動基準に該当する職員を対象に、自己申告や所属長とのヒアリング等を参考に行なわれていますが、単なる年功序列でない対応をすべきです。そして、職場のスペシャリストを育成すべきと考えますがいかがでしょうか。

さらに、研修のあり方については、研修の機会の拡充と研修内容の質の向上が必要です、まず、研修担当者のスキルアップについてです。研修担当者は言うまでもなく、自治体研修のプロフェショナルでなくてはなりません。前年度のプログラムを続けていくだけでは進歩はないのです。多様化する研修ニーズを踏まえ、時代の変化に即応した研修を独自提供するために「考え」「調査し」「行動する」研修リーダーを養成すべきと考えますがいかがでしょうか。

【答弁】須田部長

次に、人材育成についてのご質問にお答えします。
まず、職員についてですが、本区が求める職員像として現在の人材育成基本方針に掲げる四つの基本姿勢に加え、人口の急増や景気の急速な悪化といった社会経済状況の変化に的確に対応しつつ、多様な行政課題を迅速に解決していくため、職員には更にスピード感と緊張感を求めていきたいと考えています。このため、昨年末に実施した職員の意識調査を参考にしつつ、人材育成基本方針の改定作業に着手しており、今年度内を目途に成案を得たいと考えています。

次に、人事管理についてですが、本区は平成8年度から全職員を対象とする総合的人事考課制度を導入し、職員の育成に取り組んできました。また、管理職を対象とした評定者訓練を毎年実施しており、人事考課の精度は着実に向上していると認識しています。加えて、平成20年度からは査定による昇給と勤勉手当における成績率を導入し、評定結果を処遇に反映させることといたしました。しかし、昇給幅や勤勉手当における一律拠出割合が小さい等の課題もあり、職員の業績をより一層処遇に反映するためには本区独自の見直しが必要であると考えています。また、職員の異動については、人事異動基準に基づき、自己申告書やヒアリング等を参考にしつつ、適性や能力に着目した人事配置を心掛けております。しかしながら、区役所の持つ仕事の性格上、あらゆる課題に対応できるオールラウンダーの育成に比重を置いてきたため、反面、スペシャリストが十分育っていないという現状もあります。今後は、人事異動年限の弾力化を図るとともに自己啓発支援を含む研修環境全体を充実させることにより、その道のプロを育成する方策を検討してまいります。

次に、職員の能力開発についてであります。ご質問にあるように、区長が職員に何を期待し、求めるかについて十分な理解の上に立った能力開発は、まさに基本と言えます。その前提となる区長と職員との双方向コミュニケーションが成立するよう、現在、主任主事や係長昇任選考合格者を対象とした区長との懇談会を開催し、自由な意見交換の機会を作っております。そのほか、庁内放送等を通じても区長が求める職員像に関するメッセージは着実に伝わっているものと認識しております。また、職場内研修の重要性に鑑み、今後はOJTリーダー養成研修を実施するとともに、OJTハンドブックの発行も検討し、その充実に努めてまいります。また、研修担当者の能力向上については、外部の教育機関等と連携しつつ、必要な研修を企画できる能力を持った担当者の育成に向けて努力してまいります。少数精鋭の人材により効果的に仕事を進めるためには、職員一人ひとりの能力や個性を最大限に発揮させることは重要であり、積極的に職員の人材育成に努めてまいります。

3. 行財政改革について

【質問】福馬えみ子

本区は、急転する財政状況の中、南部地域を中心とする人口増加に対応する小・中学校や保育施設等の整備は待ったなしであり、加えて既成市街地での大型公共施設も一斉に大規模改修の時期を迎えます。これらへの多額の財政負担は必至であり、さらに、多様化する行政需要に応え、適切な区民サービスを持続的に提供するためには、安定的な財政基盤の確保に向け、さらなる行財政改革への取り組みが不可欠となります。
 まず初めに、新長期計画の基盤となる新たな行財政改革への区長のお考えをお聞かせください。

(1)新たな行政評価制度の構築について

本区においては、自治体の説明責任の手法の一つとして、施策から事務事業にいたる行政評価システムを導入しております。なかでも事務事業評価は、毎年度、成果や効率性といった観点から達成度評価を行い、事務事業の改善に大きな役割を担ってきたと考えます。この事務事業評価は、予め業績目標を立て、その目標が事後的にどう達成されたか、検証する仕組みであります。その際、業績目標の妥当性と事後の検証プロセスを確保する「マネジメント・サイクル」が機能しているかどうかの検証が必要となります。
現在の評価は、職員自らが行なう内部評価となっており、お手盛りになりやすいとの指摘や制度全体の見直しも言われています。新たな評価システムの構築をどのようにお考えですか。さらに、外部評価については、行政内部の評価の客観性を確保するという観点から導入を検討するべきであり、施策の方向性の価値判断はあくまで自治体内部で検証すべきと考えますがいかがでしょうか。

(2)定員適正化について

新たな長期計画をスタートするにあたり、この10年を振り返ってみますと、バブル崩壊後の本区の財政健全化に寄与した大きな柱の一つは、アウトソーシング基本方針に基づく積極的な事務事業の外部委託であり、定員の適正化であったと考えます。特に二次にわたる千名を超える人員削減は、440億円にものぼる確実な成果をもたらしました。その財源は、保育所や特別養護老人ホームの整備、子ども医療費の無料化など実のある区民サービスに振り向けられたのです。
今後避けられない行財政環境の急転に、基金や起債の活用のみで立ち向かうことは不可能であり、新たな行政評価制度の構築と共に、アウトソーシング基本方針の改定や定員適正化計画の策定を急ぐべきと考えますが、区長のお考えをお尋ねします。

(3)地方分権について

政府の地方分権改革推進委員会は先月、国が自治体の仕事を法令で細かく縛る、「義務付け・枠付け」の廃止・縮小を主な柱とする第三次勧告を首相に提出しました。なかでも、厚生労働省は、勧告対象となっていた保育や介護、福祉など1362項目のうち、約1200項目について、自治体の判断で定めることを容認し、さらに、全国一律となっている許可保育所の居室面積基準についても、待機児童が多い都市部に限り時限的に緩和する方針を明らかにしました。
さらに、来年度には、地方分権改革推進計画の策定が予定されるところであり、自主財政権の確立を国に強く求めていくことはもちろんのこと、「生活者の視点に立つ『地方政府』の確立」と行財政改革をいかに実現されるのか、お考えをお尋ねします。

【答弁】山崎区長

まず、新長期計画の基盤となる行財政改革についてであります。
新長期計画では、人口増に対応した新たな施設整備や、既存施設の大規模改修等とともに、緑化・地球温暖化対策や福祉施策の充実等を積極的に図っていくことを検討しております。しかし、本区を取り巻く財政状況は厳しさを増しており、計画の着実な実施にあたっては、安定的な財源確保が重要課題の一つであると認識しております。
区といたしましては、引き続き不断の行財政改革に積極的に取り組み、安定的な財政基盤の確立に努めてまいります。

次に、新たな行政評価制度の構築についてであります。
本区では、各事務事業を費用対効果や有効性、効率性の観点から評価する行政評価システムを導入し、その結果を翌年度予算編成等に活用してまいりました。施策の方向性は区が責任をもって引き続き位置づけてまいりますが、今後、外部評価の導入による客観性の向上を図るとともに、評価結果を踏まえた施策の見直しや、翌年度予算編成への反映等を行う一連の仕組みについて、新たな視点から検討を進めてまいります。

次に、定員適正化についてのお尋ねです。
本区は、平成9年度より二次十ヵ年にわたる定員適正化計画のもと、千名余の職員を削減いたしました。
現在、定員適正化計画終了後も、粛々と定員の削減を図っておりますが、一方、ここ数年の爆発的な人口増加は、新たな行政需要の増大を余儀なくしており、こうした需要に対し、安定したサービスを供給するためには、一定程度の職員需要を見込む必要があります。
新たな適正化計画策定に当たっては、困難も見込まれるところではありますが、財政や景気の動向に関わらず、常に職員数の見直しを行うことが重要であり、現在、削減目標を明示した計画策定を検討中であります。
また、本区のアウトソーシング基本方針については、指針となる考え方を示したものであり、その考え方は引き続き堅持してまいりますが、年次計画が本年度で終了することから、成果の検証と総括を行い、今後の方向性を示してゆく考えであります。

次に、地方分権についてのご質問にお答えいたします。
国は、地方分権改革推進委員会による「義務付け・枠付け」の廃止や緩和等を柱とする第3次勧告を受け、各省庁の対応方針を発表いたしました。 内容は、地方が見直しを要望している104条項のうち、勧告通りに見直すとしたのは公営住宅の整備基準の条例への委任など28条項に留まり、私としては決して満足なものではありません。
ご質問の厚生労働省による大都市の保育所施設整備基準の緩和は、本区の重要課題である待機児童対策に直接関わるものであり、待機児童を抱える保護者の方々の想いを踏まえるとともに、児童への影響を考慮し、待機児童対策の総合的判断の中で検討してまいります。

私は、46万区民を代表する自治体の長として、真の地方分権の実現には、事務権限の移譲とそれに見合う実質的な税源移譲が不可欠であることを、強く国、都に訴えてまいります。

4. 教育行政について

【質問】福馬えみ子

(1)校長の役割と教育委員会の指導について

平成19年教育基本法が改定されました。我が国の教育の基本的な方向性を定める教育基本法が60年ぶりに改定された意味は大きいものと考えます。学校教育の目標と重点、学力の定義、教育委員会の体制の刷新、責任の明確化など、改革の方向性と内容が具体的に示されたのです。教育長は、この改定を受け「江東区の教育」をどのように進めようとされていますか。

また、校長には学校の裁量権の拡大や、経営責任の明確化、さらに参加・参画型学校経営に関する学校外の意見の聴取力、利害の調整力、関係者との交渉力、コミュニケーション力などが強く求められることになりました。さらに、学校運営に関する指導力を発揮し、教職員が学校組織の一員としての自覚を深め、積極的に目標に向かって取り組むようにすることが必要です。このような校長像を求めていくには区教育委員会の果たす役割が重要になりますがどのようにお考えですか。

校長は、教育課程の編成、教育計画の作成に際しては、すべての目標に対峙しているかを総合的に考え、新たな項目に対する背景と内容を充分に理解し、適切に達成できるようにしなければなりません。教育委員会は各学校が共通項を持ちながらも独自性を発揮できるように、校長を強力に支援する明確な基本方針や資料提供、研修、相談機能の充実、財政的措置などの条件整備が不可欠と考えますがいかがでしょうか。

(2)教員の育成について

平成21年度東京都公立学校教員研修体系を見ますと、そのなかに「学校が主体となり、意図的かつ計画的にオーバー・ジョブ・トレーニング(以下、OJT)を行なえるよう、必要な教育情報の提供を通じて学校におけるOJT推進者を育成するなど、効果的なOJT推進のための研修を行なう必要がある。」とあります。教員の研修は基本的に東京都が行なうものですが、OJT推進は、各学校にゆだねられることが多く、各区の教員研修のあり方にも大きな影響があると考えます。現状と今後のあり方についてお尋ねします。
また、本区の教育課題に対応する、独自研修についてもあわせてお答えください。私は、教員一人ひとりの意欲を図る意味でも、優秀教員の表彰・認定制度を設けるべきと考えますがいかがでしょうか。

現在の教員任用制度では、東京都で採用された教員は、他地区への異動は避けることができません。江東区で独自に採用し、江東区を愛し、江東区の子どもたちのために力を尽くしてくれる教員が必要です。区独自の教員採用についてのお考えをお尋ねします。

(3)特別支援教育について

平成19年度の改正学校教育法の施行により、特別支援教育が法的に位置づけられ、2年半が経過しました。江東区では、平成15年11月より、今後の特別支援教育のあり方を検討するため「江東区立学校特別支援教育検討委員会」を設置し、平成19年3月にとりまとめをしました。これにより、従前の『特殊教育』から、LD,ADHD,高機能自閉症等の発達障害を含め、障害のある児童・生徒に対してその一人ひとりの教育的ニーズを把握し、適切な教育的支援を行う『特別支援教育』への転換がなされ、小・中学校の通常学級において、具体的に実践されてきました。まず初めに、江東区における特別支援教育の進捗状況と評価をお尋ねします。さらに、今後の検討課題となっていた①ライフステージを見通した教育活動の展開。②特別支援学校とのパートナーシップの構築。③特別支援学校免許状(仮称)の取得推進。についてはいかがでしょうか。

現在、各学校に特別支援教育コーディネーターを配置し、個別の教育支援計画、個別指導計画に基づき指導されていますが、区教育委員会の支援体制はどのようになっているのでしょうか。固定学級や通級指導教室に通う児童・生徒数は増加しており、発達障害などの課題を抱える子どもは、増加傾向にあります。どの子も教育を受ける権利があるのです。区教育委員会は、今後の特別支援教育の方向性についてどのように考え、取り組んでいかれるかお尋ねします。

子どもたちは、日々成長します。学校教育は「子どもが主役」を忘れることなく進められることを願います。

【答弁】高橋教育長

次に、教育行政についてのご質問にお答えいたします。
私は就任以来、「全ては学ぶこどもたちのために」との考えを根本に据え、本区の未来を担うこどもたちを中心とした教育を展開してまいりました。また、この考えは、改訂された教育基本法の趣旨に沿ったものであると認識しております。

まずはじめに、校長の役割と教育委員会の指導についてのご質問であります。
校長が、学校を組織として機能させるためにリーダーシップを発揮し、学校改革を推進することが求められております。
そのため、本年度から、私や次長などによる全ての校園長・副校園長との学校経営等に関するヒアリングを実施するなど、今後もよりよい学校づくりのために全面的な支援を継続してまいります。また、本区の教育目標、教育課題を十分に理解した上で各校長が自校の経営計画を策定し、学校評価を生かしながら、特色ある学校づくりを行うことは、大変重要と考えます。これまで、教育委員会としても特色ある学校づくりのための予算をはじめ校長の経営支援のための相談体制の整備などを行っており、今後もさらに充実させていく考えであります。

次に、教員の育成についてであります。
本区におきましては、今年度も100名を超す新規採用教員が小中学校に配属されており、それぞれの学校における日常の職務を通して研修を重ねるOJTは、教員の育成に大きな役割を果たすものと考えます。
 校内におけるOJTは、副校長を推進責任者とし、具体的には主任教諭を担当として計画的に推進しております。現在、各教員が年度当初、自己申告書に校内OJTにおける目標を記入し、年間を通してその達成状況を評価しておりますが、今後はOJTにかかる比重が高くなることから、校内OJTを的確に推進できるような研修を実施してまいります。
次に、本区の課題に応じた研修ですが、教務主任研修や生活指導主任研修など職務内容の充実を目指すものや、教育相談研修、道徳教育研修など専門性を高める研修を実施しております。
また、優秀教員の表彰・認定制度ですが、現在、優れた授業力を有する教員を「授業力向上アドバイザー」と認定して広く模範授業を公開し、多くの教員に研修させる制度を設けております。ご提案の表彰・認定制度については、教員の意欲を喚起する意味でも効果的であり、今後、更に検討を進めてまいります。
区の独自採用の教員については、他地区への異動がなく、長期間に亘り、区の教育課題に当たることができるなど利点もあります。しかし、先行事例から見ますと、任用や昇任の体系、費用対効果等の面で課題もあり、今後の検討課題とさせていただきます。

次に、特別支援教育についてですが、区教委では、平成19年3月に答申があった「江東区立学校における特別支援教育の在り方について」を指針とし、これまで、通常学級への学習支援員、個別学習が可能な支援指導員の配置、スクールカウンセラーの派遣など、様々な人的支援措置や研修の充実を図ってまいりました。
一方、ハード面では今年度、枝川小学校に固定学級を新設し、来年度には豊洲北小学校に情緒通級学級の設置を計画しておりますが、今後ともハード、ソフト両面にわたり力を注いでまいります。
また、ご指摘の三点の検討課題につきましては、現在、江東区地域自立支援協議会との連携によるライフステージを見据えた検討、副籍制度導入による特別支援学校との普段からの協力連携、より実践的で専門的な指導方法への研究・研修などを進めております。
教育委員会の支援体制では、今年度、事務局に職員2名を増員するとともに臨床心理士資格を有する心理専門員を配置し、専門的見地からの巡回指導や就学相談、現場との連携強化に努めております。

今後の方向性でありますが、江東区の特長としてこれまでにも評価をいただいている人的支援策や施設整備の計画的推進を図るとともに、発達障害等への早期対応や一人ひとりのニーズに応じた、きめ細かな支援など、特別支援教育全般の充実を目指してまいります。