【質問】福馬えみ子
(1)平成20年度当初予算編成の基本方針について
先月、本区18回目となる区政世論調査の結果が公表されました。定住志向は、87.5%と、平成元年より80%半ばの高い水準を維持しています。
このことは、本区を取り巻く社会環境の急激な変化や、多様化する区民要望に対して区が、取り組んできたことも評価されたものと考えます。
しかし、一方では、転出意向については、前回と比べ僅かではありますが、増加しています。その理由としては、「生活環境が悪い」「子どもの教育上よくない」等、区民要望に適格に対応できていない部分もあると感じています。
予算編成の基本方針を見ますと、住民の満足度を向上させるため、既成概念に捉われることなく、あらゆる方策を講じて行政需要に適格に応えていくこととされています。今回の、世論調査においても、区に特に力を入れてほしい施策は、「高齢者対策」50.2%、「治安対策」38.7%、「防災対策」33.7%となっており、前回と同様です。また、職員の窓口対応の満足度向上は、まだまだ改善の余地があると思います。区長は、この傾向をどのように認識し、予算編成に反映されたのですかお尋ねします。
さらに、私はかねてから、行政運営に欠かせないものは、そこに住む区民の「生活者の視点」だと主張してきました。今回の予算編成においては、そういった視点から展開されている施策が多少なりとも含まれているものと理解しています。今回の予選編成は、山崎区政初めての当初予算ですが、編成に際して最も重要視した視点は何か、お尋ねします。
(2)区民福祉の向上について
昨年夏ごろから、中国やインドの消費拡大を背景とした、穀物や原油の価格高騰が続き、食品等の値上げに関する報道を耳にする機会が多くなっています。醤油や味噌といった生活必需品までもが値上げされ、さらには、電気・ガス等の光熱水費も値上げされるということです。当然、これらは区民生活や、中小零細企業の経営を圧迫するものであります。
区長は就任後、2度にわたり補正予算を編成され、中学三年生までの医療費無料化や、さざんかカードの実施準備等、区民福祉の向上に取り組み姿勢を明確にされています。
こうした状況下において、更なる区民福祉の向上について、どのように区民生活へ配慮され、どのように今回の予算において反映されていますか、具体的にお答えください。
(3)行財政改革のさら」なる推進について
本区においては、定員適正化による職員定数の削減や民間委託の推進等、さまざまな手法により、財政健全化を図ってきた努力が実を結び、財政状況が好転している状況であることは、財政指数や基金残高を見ても明らかです。
しかし、バブル崩壊を受け、長期的な景気低迷により、本区の財政状況が逼迫していたことは記憶に新しいところで、こうした過去を教訓として、引き続き行財政改革をしていくことは当然のことです。
本予算を見ますと、歳入においては、特別区税・特別区交付金は好調であります。しかしながら、いずれも景気に左右されるものであり、東京都の法人事業税の暫定的な国税化にみられるように、地域間格差の是正の財源を、東京に引き続き求めてくることが容易に想像されます。
また、歳出においても、少子高齢化の進展による社会保障費の増加は待ったなしであり、今後も増加の一途であると考えます。一方で、新長期基本計画の財源をどう確保するかという問題もあります。いかなる状況下でも、区民サービスの低下を招くことのない財政運営と将来に備えた安定的な財政基盤の確立のためには、現在の財政状況に甘んじることなく、今後も、さらなるコスト意識の徹底、既存事業の見直しが必要です。
私は、財政状況の好転が、「バラマキ施策」の展開につながり、それが後年度に与える影響が心配です。そういう意味からも、ここで改めて、区民福祉の向上と併せて財政規律の確保、後年度負担の重いものの施策展開については、慎重であるべきと考えます。さらに、事業効果をより一層精査したうえでの財源配分について改めて徹底する必要があると思いますがいかがでしょうか、お尋ねします。
【答弁】江東区長
福馬恵美子議員のご質問にお答えします。
平成20年度当初予算に関するお尋ねであります。
まず、予算編成の基本方針に関するお尋ねですが、私は、今回の当初予算を「未来の江東区づくり」への新たなステージへの第一歩と位置付け、初めての本格的な予算編成に臨んだところであります。
当初予算では、「江東さざんかカード」の発行や「子育て支援策」の充実をはじめとした公約の実現のみならず、様々な施策のレベルアップを図る過程で、区政世論調査等による区民ニーズの動向にも最大限の注意を払ってまいりました。
私は区長就任後、様々な機会を設け、こども達からお年寄りまで区民の声に謙虚に耳を傾け、そうした世代を超えた幅広い声を聞いてまいりました。その中で、いま求められている本当の区民ニーズを的確に把握し、予算案に反映したものであります。
具体的には、世論調査においても区民要望の強い介護基盤施設整備や後期高齢者医療制度への対応を中心とした高齢者対策、首都直下型地震に備えるための防災備蓄倉庫の整備、公共施設耐震改修の促進、学校安全対策の更なる強化など、安全安心対策にも意を注いだところであります。
また、職員の窓口対応については、世論調査においても満足度が向上された方の割合は、11.6%から17.1%へと向上しており、近年改善が図られていると考えておりますが、今後とも各種研修を実施し、職員の接遇向上を図るほか、人材育成のツールである人事評価制度の中で、職員にきめ細かな指導を行ってまいります。
今回提案いたしました予算案は、以上の点からも、「スピード」と「思いやり」をもって、多くの区民の方の意向を最大限反映し、区民視点を最も重要視したものであると考えております。
次に、区民福祉の向上についてのお尋ねであります。
本区は他の自治体に例を見ない、急激な人口増により、南部地域を中心とした公共施設整備が急務となっております。私はこうした将来を見据えたまちづくりを進めるとともに、現下の区民生活の状況に鑑み、住民に最も身近な自治体としての責務を果たすべく、区民福祉向上の観点から、様々な施策を展開していくべきであると考えております。
当初予算に具体化したものを挙げますと、ご指摘の全国初となる社会貢献事業としての「江東さざんかカード事業」を筆頭に、子育て支援策では、妊婦健診の拡充や保育園の待機児童解消を図るための認可保育所整備の促進、また認可外保育施設の保育料補助の拡充やリフレッシュ一時預かり保育の実施など、区民が真に求めている施策を積極的に展開したところであります。
次に行財政改革のさらなる推進に関してのお尋ねです。
今日の財政状況の好転は、区議会や区民のご理解、ご協力を頂きながら、逼迫した財政状況の中、行財政改革に取組んだ結果であると受け止めております。
財政状況の好転による「バラマキ施策」の懸念をご指摘されておりますが、本区は、南部地域の小中学校新設など公共施設整備を始め、様々な行政課題が山積しており、今後も効率的かつ重点的な予算配分に努めることは申し上げるまでもありません。
また、国の税制改革や景気動向も不透明であります。財政調整交付金が歳入の大宗を占める脆弱な財政基盤に立脚した本区の歳入基盤と、公共施設整備など後年度負担の重い事業が計画されている状況を踏まえると、今後の財政状況は決して楽観視できるものではありません。
そもそも行財政改革は最終的に区民福祉向上のために行うものであります。現状に甘んじることなく、常に事務事業のあり方を見直すことは、いかなる財政状況下においても必要なことであります。
今後とも、区民の声に謙虚に耳を傾け、将来の財政状況を見据えながら、安定的な行政サービスが提供できるよう様々な叡智を集め、輝かしい「未来の江東区づくり」に邁進する決意であります。
【質問】福馬えみ子
江東未来会議の現状と評価について
(1)江東未来会議の現状と評価について
山崎区長は、昨年6月第2回区議会定例会において、新たな基本構想・長期基本計画の策定を表明されました。マンション建設に伴い人口の急増や、特に南部地域を中心とした大規模開発により、本区は、未曾有の発展を遂げています。人口45万人都市となり、区民一人ひとりに質の高い行政サービスを提供していくためには、新たな発想と将来展望を的確に見通した施策の展開が必要です。その意味では、新基本構想・長期基本計画の策定は、まさにタイムリーと考えます。
今回、基本構想の策定にあたり、150人の区民が参加する「江東未来会議」が昨年9月に立ち上がり、熱心に議論をされています。この「未来会議」については、高く評価をし、提言に期待をしています。まず、「江東未来会議」の現状と、本区として現段階での評価をお尋ねします。さらに、未来会議のメンバーからは、「本会議での提言が新基本構想にどのように反映されるのか明確にして欲しい」との意見が出されています。提言を構想に確実に反映するしくみが用意されているかは未来会議のメンバーも関心が高いと考えますがいかがですか。お尋ねします。
(2)区民参加について
今日、区民ニーズの多様化や地方分権などの社会システムの変化に伴い、地域住民の意見を取り入れた個性的な街づくりが求められています。そのためには、行政と住民が協働した街づくりを進める必要があります。
私は、これまで一貫して、さまざまな行政計画を策定するに当たり、区民参加型の策定が必要であると主張してきました。
現在、江東区でも区政情報の提供やパブリックコメントなどが実施されておりますが、「区民参加」、「住民との協働」との観点からは、まだ不十分と考えます。この、3月から始まる基本構想審議会委員30名について、区民参画はどのようにお考えですか。また、計画策定にあたり、区民参加型の策定が必要ですが、いかがでしょうか。私は、「区民参加」、「住民との協働」は、新基本構想や、長期基本計画のなかで、大きな柱の1つとして位置づけていく必要があると考えますが併せてお尋ねします。
(3)長期基本計画と事務事業評価について
まず、人口フレームについてです。この計画において、人口フレームは計画策定の基礎数値となるばかりでなく、計画の進行管理を行なう行政評価においても重要な指標となります。昨今の急増するマンション建設に伴う人口の増加などにより、保育所や学校などの公的施設の不足を引き起こしている状況を見ますと、今後10年の人口フレームをどのように見通すかが、バランスのとれたまちづくり、本区全体の公共施設の整備計画に大きく影響してまいります。今後の人口推移について、現時点での見通しをお尋ねします。
また、平成12年、現在の基本計画の策定とあわせ、その進行管理の手法として行政評価システムが導入されました。現在、700余りの事務事業評価が行なわれ、区民にも説明責任の1つとして活用されています。当時は他に余り例のない江東区独自の評価システムでありました。しかしながら、導入後8年が経過し、やや閉塞感が出ているように思います。行政評価システムについて現状と課題、今後の取り組みについて、どのようにお考えですか。新長期基本計画の中で、行政評価の仕組みをどのように進められるかお尋ねします。
【答弁】江東区長
次に、新基本構想・長期基本計画についてのご質問にお答えいたします。
まず、江東未来会議の現状についてでありますが、公募による150名の参加を得て、昨年9月に立ち上げて以来、5つの分科会それぞれが、6回の会議を重ねてまいりました。現在、最終となる第7回目の会議の中で、提言書のとりまとめを行っているところであります。この提言書につきましては、来月の13日に発表会を開催するとともに、基本構想審議会への基礎資料として提出するほか、区報やホームページ等で、広く周知を図ってまいります。
次に、未来会議の評価についてでありますが、基本構想の策定において、本区で初めての試みとなる区民参加型の会議にこれほど多くの方が参加し、熱心かつ活発な議論を展開し、基本構想策定の基礎となる意見をまとめられたことについて、区としても高く評価をしているところであります。
また、未来会議における議論と経験を活かす観点から、未来会議参加者5名の方に基本構想審議会への参加をお願いし、未来会議と審議会との連続性を確保してまいります。
次に、区民参加についてでありますが、多様な区民ニーズに的確に対応するには、「住民との協働」が必要なことは、ご指摘のとおりであります。
そこで、基本構想審議会委員30名のうち、先ほどの未来会議参加者のほか、町会関係者など各種団体、本区の審議会委員など計13名の方にご参加願い、区民の視点から、様々なご提言をいただき、基本構想を策定してまいります。
また、基本構想に引き続く長期基本計画の策定におきましても、これまでの経緯や経験を踏まえ、より多くのご意見を賜りながら、区民の意向を十分に反映した計画となるよう、体制づくりを検討してまいります。
次に、「区民参画」や「住民との協働」を、今後の新基本構想・長期基本計画の中で、どのように位置づけていくかとのお尋ねでありますが、近年の住民意識の高まりの中、他の自治体においても住民との協働による行政運営への関与・取り組みについての事例が多く見られるようになってきております。また、国におきましても地域の課題やニーズに対応するとともに簡素で効率的な行政を実現する観点から地域協働推進への取り組みを要請するなど、住民参画や協働に関する動きは全国的な広がりを見せています。
こうした状況の下、区としてもこれからの区政運営を考えるうえで欠かせない要素と認識しております。
江東未来会議や今般実施した「区民意識意向調査」においても「協働・参画」を一つのテーマとして採り上げたところであり、今後の基本構想・長期基本計画の策定にあたりましても区政を支える大きな柱の一つとして議論が進められるものと考えております。
次に、長期基本計画と事務事業評価についてのお尋ねであります。
本区の人口は、この10年で実に、7万4千人余の増加をみたところであり、今回の基本構想策定にいたった大きな要因となっております。
また、今後の人口予測が本区のまちづくりを的確に進めるうえで重要な要素であることはご指摘のとおりであります。
そこで、本区の人口フレームについては、現在、その推計作業を進めているところではありますが、概ね10年後の人口を60万人近くになるものと見込んでおります。
次に、行政評価についてでありますが、平成12年に他に先駆けて導入した行政評価システムも、いまや多くの自治体に取り入れられ、行政運営の手法として定着した感があります。
本区の行政評価システムは、区の施策の目的達成度を測るモノサシとして成果指標を区民にわかりやすくお示しすることにより、区民起点・成果重視による行政運営を目指したものであり、一定の役割を果たしていると認識しております。
しかしながら、区民一般にこの制度が広く理解されているとは言えず、評価方法や運用方法のあり方についても改善の余地が残されていると考えております。
現在においても全ての評価結果を公表し、様々なご意見を頂戴しながら制度の改善に努めてきたところでありますが、新長期基本計画の策定にあたっては、区民参加の視点も含め、より開かれた、より分かりやすい行政評価のあり方について検討を進めてまいります。
なお、その他のご質問につきましては、所管部長から答弁いたさせます。
【質問】福馬えみ子
(1)後期高齢者医療制度について
わが国の高齢人口は、急速に増加傾向を示しております。65歳以上の人口は、2005年には2567万人で、全人口の20,2%であったものが、団塊の世代が65歳になる2012年には、3075万人で全人口の24,3%と予測されています。さらに、彼らが75歳になる2022年には、3613万人で全人口の29,3%にもなるといわれています。
本区の状況に目を転じてみますと、高齢者のなかでもとりわけ、ひとり暮らしの高齢者が増加しており、平成20年1月1日現在では、23,944人になっており29,6%に達しています。
こうした状況の中で、高齢者が家族や地域と係わりを持たない「社会的孤立」状態になったり、病気などになった場合、医者に安心してかかれるのかという医療面での不安など、高齢者の安心・安全面での多くの課題に直面しています。
まず、高齢者の医療面についての質問です。その中でも、4月1日からスタートする後期高齢者医療制度について、お尋ねします。
高齢者が増え医療費が増えていく中で、着実に、すべての国民が安心して医療を受けられるような国民皆保険制度を維持し、高齢者の不安を取り除いていくことが重要であると考えております。
こうした中で、国民健康保険や健康保健と区分して、本年4月から75歳以上の高齢者を対象とした後期高齢者医療制度が施行されます。「我々はどうなるのか?保険料はいくらか?払えるのか?」という不安の声も寄せられています。こうした状況を踏まえて、本区では、説明会を開催されましたが、参加者は少ないと聞いています。本制度の実施まであまり時間はありませんが、事業開始のための準備状況はいかがですか。相談体制について併せてお尋ねします。
また、本制度の円滑な実施を目指し、高齢者の負担軽減や不安解消のため、具体的な対策をお尋ねします。
(2)高齢者虐待について
高齢者虐待防止法が施行された2006年4月から1年間で、高齢者が家庭内で家族などから暴行や暴言などの虐待を受けていると確認した事例は、全国で実に1万2000件余りにものぼることが厚生労働省の調査で明らかになりました。これは氷山の一角とも言われています。
身体をたたくなどの身体的虐待、あざ笑う、暴言を吐くなどの心理的虐待、介護放棄などが主な虐待となっており、虐待者は息子、夫などが多いという結果になっています。また、被害者の6%は認知症であるといわれ、妄想、徘徊などの症状が介護者のストレスとなり、虐待を引き起こしがちであると指摘しています。孤立した家庭、介護に疲れた家族の悲惨な情景が浮かんできます。さらに、高齢者虐待は、加害者は虐待しているという認識に乏しいことが多く、被害者である高齢者は隠す、あるいはかばう傾向が強いため、なかなか表面化しにくいとも言われています。
発見と支援体制がなければ、的確な対応はできません。本区の高齢者虐待の現状について、どのように把握されていますか。対策の一歩としては、相談体制の整備が必要と考えますがいかがですか。現状と実績と対応策をお尋ねします。
(3)ひとり暮らし高齢者の見守りについて
ひとり暮らし高齢者が増え、自宅で亡くなり長期間気づかれない「孤独死」が問題になっています。私は、このような家族・親族や、地域との関わりを持たない「社会的孤立」状態を未然に防ぎ、高齢者が安心・安全に暮らしていくことができるまちづくりが必要と考えます。まず本区の「社会的孤立」についての認識をお尋ねします。また、「社会的孤立」の解消を目的として、声かけ訪問、電話訪問などを行なっていますが、見守り事業の現状と課題についてお尋ねします。千葉県の常盤平団地では、「孤独死110番ネットワーク」を立ち上げるとともに、家族構成・緊急連絡先、かかりつけの病院などを記入した「あんしん登録カード」を作成し配布することを、見守りの一助としています。さらに、都内でも、住民の70%が65歳以上で、その半数がひとり暮らしであるという新宿区の都営戸山団地では、昨年10月から「緊急」「相談」「安否」などのボタンがついた端末機を設置するとともに、団地内に、「おしゃべりの会」などを発足させ、見守り体制の強化を図っています。本区は、都営、公団、マンションなどの集合住宅住民が7割を占め、ひとり暮らし高齢者も多い特徴があります。従来の施策に加えて、高齢者の見守り事業を拡充していくべきと考えますがいかがでしょうか。
(4)江東区高齢者保健福祉計画について
本区におきましては、平成15年3月に、一人暮らし高齢者や認知症高齢者の増加、特別養護老人ホーム入所希望者の急増問題や、介護サービスの質の向上、地域ケア体制確保など、さまざまな課題に的確に対応するため、老人福祉計画、老人保健計画、介護保険事業計画を一体化し「江東区高齢者保険福祉計画」が策定されました。この間、介護保険事業計画は平成17年に内容と、保険料の見直しが行なわれたところです。言うまでもなく、本計画は江東区の「基本構想」及び、「長期基本計画」の部門計画であります。人口の急増等にどのように対応されたか、本計画進捗状況と今後の課題についてお尋ねします。
本年一年をかけ、新基本構想が策定されますが「江東区高齢者保険福祉計画」も策定しなければなりません。両者の整合性、策定における区民参加の推進をどのようにお考えかお尋ねします。
【答弁】担当部長
高齢福祉についてのご質問にお答えいたします。
まず、後期高齢者医療制度の事業開始のための準備状況についてでありますが、現在、制度運営システムの仕上げに入っているとともに、事務処理マニュアルの作成などを行っております。今後、2月25日付けの区報の特集号で詳細な周知を行うとともに、3月下旬に保険証を対象者全員に送付いたします。
次に、相談体制についてでありますが、3月から3名の相談員を配置し、制度に関する十分な研修を行い、4月1日からの確実な相談体制を整備することにより、円滑な運営を期してまいります。
次に、負担軽減や不安解消対策についてでありますが、保険料は、東京都独自の一般財源の投入により、全国的にも最低水準になりました。又、不安解消のお尋ねにつきましては、一般区民を対象とした説明会のほか、各種団体へ出向いての説明等きめ細かな説明を行ってまいりましたが、さらに区報等の広報媒体の積極的活用も行い、不安解消に努めてまいります。
次に本区の高齢者虐待の現状、課題と対応についてお答えいたします。
まず現状については、18年度では地域包括支援センターで延127件、在宅介護支援センターで延146件、高齢福祉課で延49件の高齢者虐待に係る相談を受け付けており、そのうち虐待と認められるものは17件となっております。
この対応としては施設等への入所措置あるいは勧奨を行うほか、介護サービスを受けていないものについては、適切なサービスにつなげることにより家族の負担軽減と事態の改善に努めております。
しかし、カギひとつで周囲から隔絶され、近隣住民からも家庭の事情が分かりにくい集合住宅が多くあるという本区の地域特性から、表面化していない事例も多くあると考えられ、虐待の早期発見にかかる今後の対策が重要と考えます。
そこで、20年度は虐待者から緊急に分離を要する場合に区内の介護施設で保護できる体制を作るほか、虐待の理解と早期発見に資するため、ケアマネージャーや在宅介護支援センターの職員等を対象とした研修の実施やパンフレットの発行による住民への啓発を行ってまいります。
次に、ひとり暮らし高齢者の見守りについてであります。本区内において、ひとり暮らし高齢者数は平成20年1月1日には約2万4千人と平成17年に比べ、約2割増加しております。こうしたひとり暮らし高齢者の増加が都市化の進展による近隣関係の希薄化とあいまって高齢者の孤立状態を増加させており、必要な福祉サービスにつながりにくい状況が進みつつあると認識しております。
本区では、声かけ訪問事業、電話訪問事業、食事サービス事業、緊急通報システム事業を見守りネットワークとして整備し、ひとり暮らし高齢者の安否確認等を行っておりますが、このうち、声かけ訪問事業は、シルバー人材センターに委託し、手渡しすることで確実に見守りができるようになったものの、サービス利用者は減少傾向にあります。こうしたサービス利用を通じた「見守り」の仕組みは、ひとり暮らし高齢者全てをカバーできないという点で限界があり、地域における自主的なケア体制の仕組みづくりが今後の課題であると認識しております。
この点を踏まえ、高齢者の見守り事業の拡充につきましては、住まいの約7割が集合住宅という本区の特性に鑑み、マンションの管理組合や団地等の自治会を単位として、支援が必要な方の名簿の作成やそれに基づく見守りの実践を行う「高齢者地域見守り支援事業」をモデル事業として、20年度から実施してまいります。
次に、江東区高齢者保健福祉計画についてのお尋ねであります。高齢者人口の増加につきましては、現在のところ計画上想定している範囲内と認識しておりますが、計画の進捗状況と今後の課題としては、地域密着型施設のうちグループホームや小規模多機能型施設が採算等の問題で事業者参入が遅れているため、引き続き誘致等の努力を行ってまいります。
新基本構想と高齢者保健計画との整合性でありますが、長期基本計画及び各部門別計画は、区の基本構想に基づき策定することは当然であり、基本構想審議会での議論の推移を踏まえ、各部署との綿密な連絡調整を行い、計画策定の方向性に誤りのないよう十分配慮してまいります。